空想ブログ  蒼い空の下で

主にドラマ「白い影」のサイドストーリーです

新天地へ

2016年の7月、山岡は倫子のマンションを訪ねていた

「北海道の看護学校の教員?!」山岡から話を聞いて倫子は思わず声を上げる

「知り合いが看護学校の教員を探していてね。良い人いないかと聞かれたんです。教員だから仕事が出来るだけではなく人格者でもなければいけない。真っ先にあなたの顔が思い浮かんだよ」山岡はそう言って、コーヒーを飲む

「人材育成は素晴らしいお仕事ですけど…人に教えるなんて、初めてだな....出来るかな」倫子は不安を口にする

「あなたなら出来るよ。技術と人格、両方備わった看護師を育成してほしい。この話考えておいてください」山岡はそう言って、学校のパンフレットを渡す

山岡が帰った後、倫子は考えこんでいた

患者と向き合うことにもやりがいを感じていたが一方で後輩を育てることにもやりがいを感じていた。

教員と言う仕事に挑戦してみたい気持ちがあったし、直江の故郷である北海道も魅力的だった。ただ、陽介の進学があるから思いとどまってしまう。

そんな二人のやりとりを隣の部屋で勉強をしていた陽介は聞いていた

 そうこうしているうちに倫子は寝入ってしまった

「おいおい、母さん夏風邪ひくぞ」息子の声で倫子は目を覚ました

「ごめん。寝てた。」倫子は洗顔をしようと立ちあがる

「母さん、北海道の看護学校の教員の誘い来てるの?」机の上に散らばった資料を見ながら陽介が言う

「まぁ...でもね。お断りしようかと思って。」倫子は頭を掻きながら答える

「昨日の様子だと、仕事の内容自体は興味無くはないんだろ?」陽介は冷蔵庫から牛乳を取り出しながら言う

「そうだけど...」倫子はパンフレットを見ながらつぶやく

「俺のことなら気にしなくていいぞ。北海道に住んでみたいし..」陽介がそう言うと、コップに注がれた牛乳を飲む

「でも、あんた、s大附属行きたいんでしょう?」陽介の予想外の反応に倫子は驚く

「札幌にだって明館高校がある。大学受験で志望大行ければ変わらない」陽介は得意げに言い切った。

「大人びたこと言っちゃって…だんだん直江先生に似てきたなぁ」倫子は堂々とした直江の様子を彷彿とさせる陽介の様子を微笑ましく思う。