あれから1年(4)
「そうそう中野くんと、麻里子くっつけたのも直江」
西岡が追加で出されたクッキーを食べながら言う
「そうなんですか?」倫子が西岡のコーヒーカップにコーヒーを継ぎ足しながら言う
「実はね今日のメンバーの中で夫だけ野球部じゃないの、でもねすごいイケメンで学校中で有名だったからクラスが違う私も知っていたの。」麻里子がコーヒーを飲みながら言う
「ちなみに直江くんも負けないぐらい人気だっだわよ~A組の中野と直江、どちらがカッコいいか論争まで起きていたくらいだったんだから。二人ともイニシャルNで出席番号隣で仲良しだったからNNコンビと呼ばれていたんだから」浜田が懐かしむように語る
「私が遠くから夫を眺めているだけの関係だったんだけど、ある日私が部活の書類を間違って捨ててしまってね。部の人はもう帰った後だったから必死に一人でごみ置き場あさっていたら、たまたま自習で遅くなった夫が通りかかってね、一緒に探してくれたの」麻里子がのろけながら語る
「それで、私は夫に本気で惚れてしまって。でもね私はこの通りあんまり綺麗じゃないし、更に今より10キロ太くてあだ名はタヌキだったから、こんな私に惚れてくれるわけがないと直江君と一緒にいるところを見ているだけだった」麻里子が当時を懐かしむようにつぶやく
「高三の卒業迫ったある日、それを直江くんに見破られてね。もしかして中野のこと好きなのか?って。思い切って打ち明けたら、告白してみるかと言われて。私がライバルには綺麗で可愛い子がたくさんいるし、そんなの無理って言ったら、あいつも君に好印象を持っていると言われてね。告白の場を直江君が取り持ってくれて告白したらオッケーしてくれたの」麻里子が照れながら明かす
「へぇ~先生が恋のキューピットか」倫子がコーヒーを飲みながらつぶやく
「そうなの、彼がいたからこの人と結婚できた」麻里子が中野の腕をつかみながら得意げに言う。
中野は照れながらも嬉しそうだ
「実はね直江君が亡くなる2日前に彼と逢ったの...」麻里子が少し悲しそうにつぶやいた
「うそ...」クッキーを食べていた倫子の手が止まる
「私、彼の状況なんて知らなかったから、結婚しないの?とか聞いちゃって...そしたらねあなたとはずっと一緒にいたいと思っていると切なさそうにつぶやいたの...」
故郷の友人に語った、直江の自分への想いに倫子は目頭が熱くなる
「彼、あなたと結婚したかったんだろうな。陽介ちゃんのこと知っていたら....」麻里子がそう言いながら涙ぐむ
「本当だよ...」中野もそうつぶやき涙ぐむ
「でも、籍は入っていないけど、倫子さんは奥さんだったと思う。彼をあんなに安らかな気持ちにしたんだから」そう言って浜田も涙ぐむ
「天国で絶対、倫子さんと陽介ちゃんのこと見守っているよ」北山もそう言いながら涙する
「直江との思い出、息子さんにいつでも聞かせますよ」西岡が涙ぐみながらも笑いながら言う
「皆さんのようなお友達に恵まれて先生は本当に幸せですよ」倫子も涙ぐみながら笑みを浮かべた