ガラスのボート2
三人は予約していたホテルに戻った
杏奈は部屋について座るなり、旅疲れで眠ってしまったようだ
そんな杏奈を泰子はベットへ運ぶ
泰子と一恵も寝る支度をして、隣り合わせのベットで横になった
「倫子さん、本当に芯の強い人だね」一恵がふとつぶやく
「あの子が好きになった人なだけあるわね。昔からモテたけど自分から好きになることはめったになかった」泰子がつぶやく
「モテる子だったわよね...バレンタインデーとかチョコ大量に持ち帰ってきて数日間チョコ三昧だった記憶がある」一恵が懐かしむように言う
「それにしても平手打ちのエピソードは驚いたわ」泰子が笑いながら言う
「平手で打たれるあの子も、平手打ちする倫子さんも想像できない」一恵も同調する
「でも、ああ見えて結構気が強いところもあると思う。もし庸介が生きていて結婚していたら、意外にかかあ天下になってそう」泰子が言う
「わかるかも。外では冷静な外科医、家では妻に頭が上がらない旦那になってそうね」一恵が言う
「そういう二人の未来見たかったな...あの子も子供の存在知らずに逝くなんて」
泰子は涙声になる
「倫子さんと産まれてくる子供が幸せになれるように支えていかないとね。」泰子は涙を拭いながら言う
「でも、倫子さんなら大丈夫よね。素敵なお母さんになる」一恵は穏やかにつぶやく
「頼りになるお父さんにもなりそうよね。庸介より。」泰子は穏やかに微笑みながら言う
「お母さん...」その時眠っていた杏奈が目を覚ました
「ごめんね、起しちゃって」泰子は謝る
「いいの。杏奈夢を見てたの」杏奈はそう言って微笑む
「どんな夢?」
「叔父さんと倫子さんと赤ちゃんが三人で歩いている夢」
「まぁ...」泰子は目を潤ませる
「叔父さん、倫子さんと赤ちゃん見守ってくれてるんだね。見守っているから安心しなさい。赤ちゃんのことよろしくと杏奈に言いに来たんだね」
「そうね」一恵も涙ぐみながら答える
「杏奈、赤ちゃん産まれたら、庸介叔父さんの分も可愛がる!」
「杏奈...」泰子が杏奈を抱きしめる
「叔父さんのお話、いっぱいしてあげる」
「まぁ,,,,」一恵も目を潤ませる
「叔父さん喜んでるわ。でも明日は早いから寝ましょう。おやすみなさい。」
「おやすみ」
そのうち三人は眠りに着いた